メイン

映画「天国と地獄」

少し前にBS2で放送された、黒澤映画「天国と地獄」を録画で見ましたが、色々な点で現代とは違っていることがあるのに気が付きました。

 
映画「天国と地獄」(ウィキペディア参照)は今を去ること45年も前の、1963年に公開されたモノクロ映画です。

tengokutojigoku.jpg
画像元:Amazon

誘拐犯が身代金の受け渡しに、当時の東海道線特急列車「こだま」の便所の窓からカバンを投げろ…と指示したり、犯行の動機が「いつも高台の豪邸から俺たち庶民の家を見下ろしやがって」という事だったり、犯人がカバンを処分するために燃やした時、煙が鮮やかなピンク色(モノクロの中で唯一のカラーシーン)になったり、見応えがある映画です。


その一方で、現代とはやや違うなぁ… と感じた部分があれこれありました。

一つが、警察の捜査会議でもうもうとタバコの煙が漂っているシーン。 他にも後半で、犯人が繁華街を歩くシーンでタバコを吸いながらだったり、被害者の権堂氏と唯一の接触であるシーンでタバコの火を貰ったりしています。 当時は日常的にこういうシーンがあって、今ほどタバコのマナーに煩くなかったということでしょう。(タバコを吸わない私にとっては今の方が良いんですが)
二つ目が、犯人が医学生(インターン)であること。 これは毒物の知識が必要という事での設定かと思いますが、現在ではインターンと言えば将来の収入を保証されたような職業を、蒸し暑い安アパートから高台の豪邸を見つめて、金持ちへの恨みを増幅させる…という犯人像にしています。 なんか違和感が大きいんですけど、時代なのかなぁ。(^_^;)
三つ目は特急こだまの中のシーン。 登場する車内は当時の国鉄車両を撮影用に借り切って撮られたとの事ですが、一等車だからか、2人掛けシートが進行方向に向いた設定です。 昨年公開の「続三丁目の夕陽」に出てきたシーンでは4人掛けの対面ベンチシートだったんですが、これは二等車だったせいなのかどうなのか、ちょっと調べてみたくなりました。

登場人物を見ると、当時新人だった山崎努がラストシーンで泣き叫んだり、捜査の先頭に立つ仲代達矢が好演したり、現代では大御所的な立場にいる役者達が若い姿で、魅力的な役を演じていて印象に残りました。

にしても、タイトルの「天国と地獄」の意味はどの部分にあるんでしょう。 黒澤監督の事だから軽佻浮薄な意味ではないと思うんですが、その辺の関連性がイマイチ判りません。(^_^;)ゞ

コメント

>タイトルの「天国と地獄」の意味はどの部分に

劇中で山崎努が言っていたと思うのですが、彼がいかに地獄のような場所に住んでいたか、そしてアパートから見ると、三船の家は天国に見えた、というところからでしょうね。
ただ、地獄に引きずり下ろしたと思った三船がへこたれていないのを知って、地獄は自分の心の中にこそあったと、山崎は思い知るわけですが…。
今は、医者になるのは金持ちか医者の子どもって言うパターンが当たり前のようになっていますけど、昔は、まさに「苦学生」というのが存在したってことですね。
この時代の映画も、現代の生活感覚で見ると、なかなか理解しづらい部分も増えてくるんでしょうねえ。

コメントありがとうございます。&お久しぶりでございます。

なるほど、三船と山崎の立場の違いを端的に表した表題… というシンプルな感じですか。
仰るとおりの、かつては存在した「苦学生」という事も、うっかり忘れておりました。(^_^;)

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)