Webの標準って?
W3C勧告と世の中のOS占有率とのジレンマ
「Web標準」とか「W3C勧告」あるいは「HTMLとCSSによる正しいWebサイト構築」とか、様々に言われて久しいんですが、これらのことに細かく気を配ってサイトを作っても、それによってクライアントから高く評価される(=ギャラが上がる)....という事はまだまだ少ないです。
「あらゆる人に情報の機会均等を」とか「見た目がいいだけではダメで、様々な閲覧環境に即した表現」と言ってみても、そうした意識レベルの高いクライアントはまだ多くはなく、ほとんどが「見えればいい」「読めればいい」「目立てばいい」「派手な方が多くの人に見てもらえる」という意識のクライアントばかりです。 酷いところになると、画面上はキレイに文章が並んで見えているけれど、画像だけで構成されていて実際にテキストはほとんど無し、というサイトがあります。(しかも公共性の高い総合病院のサイトだったり (^_^;))
実際のところ、Web標準的にサイトを作れば検索エンジンへのヒット率が上がり、音声読み上げソフトなどにも対応できて、より多くの人に観てもらえるサイトになるということなのに、クライアント側はその実感が湧かないんでしょうね。
そういう状態の根底には、世の中の9割以上がWindows環境でネットを見ている、という事にもある訳で....
Win=I.Eという事だから、I.Eで正しく表現できさえすれば後は知ったこっちゃない、というのがホンネでしょう。 場合によってはWordやExcelで「Web形式で書き出し」をして、堂々とサイトで公開しているという酷い例もあります。
友人のブログが、表示テンプレートをカスタマイズしたらMacでの表示(正確にはSafari/Firefoxでの表示)がテキストだけの素っ気ないモノになってしまい、I.Eだとちゃんと表示できている状態に。(WinのFirefoxでも表示はNG)
これはもう、ブラウザのシステム的な理由(HTMLの解釈の違い)によるわけで、Web標準で動いているSafari/Firefoxがキチンと表示できなくて、Web標準からしてみると“異端”のI.Eだけが問題のない表示に....という状態です。(^_^;)
これを「異端が標準に勝っている状態」と見れば、ではどっちが標準?という疑問も当然湧いてきます。 そうなってくると、W3Cが勧告するWeb標準ってところにどんな意味があるのか....という話にもなってきますが、勿論上に書いた「検索結果」に繋がることは明確だし、市場シェアやムードだけで物事を測るのは危険です。
こういう仕事をしていると、クライアントとの打ち合わせの中に、こうしたWeb標準に関わる説明の必要が頻繁に出てきますが、それだけクライアント側は「そんなことは意識などしていない」という状況な訳ですね。
Webが始まった頃は「とにかく見えて、情報を発信できればそれでいい」的な発想だったものが、これだけ“星の数ほど”のサイトがある今では「より目立って、より多くの人(この場合Win/I.Eの人々)に観てもらい、PRに繋がって欲しい」という要求に変わってきています。
じゃ、いっそのことWin/I.Eでキチンと表示できる様なサイトを作れば良い?
いやいやいや.....
それでは少数派を切り捨てる事になって、企業姿勢を問われかねませんよ。
そんな会話を今日も繰り返すのでありました。(^_^;)
※次に出てくるI.E 7.0ではこのWeb標準に準拠している様ですが、搭載される予定のWindows Vistaのリリースが遅れているので、一般に普及するのはまだまだ先のようです。